【真冬の北海道】宗谷岬 年越しツーリングのために事前にやっておいたバイクのカスタムやオススメのカスタム!

こちらの記事にて、宗谷岬ツーリングをしてきたボロンコマスターイケダさんにインタビューをしておりますが、バイクのカスタムについては内容が濃かったので急遽別記事に分ける事にしました。

【真冬の北海道】宗谷岬 年越しツーリングの準備や予算、ルート、感想などのまとめ!


はじめに大前提として、バッテリーに負荷をかけるのは基本的には非推奨

寒い場所はただでさえバッテリーあがりなどが起こりやすく、電力を使うトラブルが起こりやすいです。本記事でもバッテリーの力を借りて暖を取る方法を一部紹介していますが、基本的にはバッテリーに負荷をかけて暖を取る方法はオススメできません。車種やどの程度の電力をバッテリーから取ってくるかにもよって変わるため一概に「これくらいなら大丈夫」とは言えませんが、寒冷地でなくてもバッテリーに負荷をかけるほどバッテリーあがりを起こしやすくなるという事は理解しておいてください。

イケダさんがしておいたカスタム

まずは、イケダさんが相棒のブロンコに実際にやった宗谷岬ツーリング用のカスタムから紹介していきます。

スパイクタイヤの用意

まずは必須ともいえるスパイクタイヤの用意。当たり前ですが二輪車という不安定な乗り物で雪道や凍結路を走るのにノーマルタイヤでは厳しいものがあります。
そこで、聞いた事がある方もいると思いますがスパイクタイヤという、ピンが打ち込まれたタイヤを用意します。実は一部バイク用のスタッドレスタイヤというのもあるのですが、原付用など、サイズが限られています。

スパイクタイヤは完成品も売っていますが、特殊なタイヤなので当然高いです。
そこで1ピン10円くらいのスパイクタイヤ用のピンを購入し、インパクトドライバーを使って400本ほど手作業で打っていったようです。
これが気が遠くなるような作業で、20時間くらいかかったそうです。

イケダさんは「基本冬の宗谷を目指す人達は手作りだと思う。それか、非常に時間がかかるためやってくれるお店を探して頼んでいる人がほとんどだと思う。」と言っていました。

オーバークール防止にアルミプレートを装着

非常に寒い所を走るため、エンジンがオーバークールされるのを防ぐためにアルミで自作のプレートを作って、こんな感じでセット。

オーバークールを防止するプレート

オーバークールを防止するプレート

オーバークールとは?
言葉の通りオーバーヒートの真逆で、エンジンが過剰に冷却されてしまう事。外気温が低すぎると走っていてもエンジンが暖まらず、ずっと暖気が終わらないような状態になってしまうわけです。

ヘッドライトを大型のラリーライトに

ブロンコの純正ライトは単眼の丸形ライトです。これを複眼のラリーライトに換装して光量アップ。

ハンドルカバー

グリップには手先の冷え防止でコミネのハンドルカバーを装着。(上記の写真参照。)

スクリーン

スクリーンも本来はブロンコにはありませんが、これも加工して装着。


イケダさんがブロンコにしたカスタムは以上です。

その他にやっておいた方が良いカスタム

次に、イケダさんは今回やりませんでしたが「これはやっておいた方がいい」というオススメのカスタムや、宗谷岬で出会ったライダーがやっていたカスタムをいくつか教えてもらったので紹介していきます。

グリップヒーター

イケダさんの場合はテムレスと呼ばれる手袋(記事冒頭の本編にて解説)の中にカイロを貼ってバイクにはハンドルカバーをして走行。これでも走れたようですが、やはりグリップヒーターもオススメとの事。

グリップヒーター

ホンダ純正のグリップヒーター

メーカー純正のものから社外製のもの、グリップに巻き付けるタイプなどタイプは様々。
もちろん気温がマイナスになる真冬の北海道を走るのにグリップヒーターだけでは心元ないですが、グリップヒーターはハンドルカバーと組み合わせるとかなり威力を発揮するので筆者からもオススメ。

冬の北海道ほどの厳しい環境ではありませんが、筆者も気温3℃くらいで雪の降る真冬の新東名高速道路をハンドルカバーとグリップヒーターの組み合わせで3時間走った事があります。その時つけていたのは夏用の薄手のグローブですがまったく寒くありませんでした。なんなら暖かいくらいでしたね。そのくらいグリップヒーターとハンドルカバーというのは最強の組み合わせです。例えるならこたつみたいなものですね。

ハンドルカバーにグリップヒーターなら気温一桁も”寒くない”

ちなみに電力に頼らない方法として「ラジエーターのポンプをハンドルまで取りまわしてそれをヒーターにする」という方法があり、イケダさんが実際に宗谷岬で遭遇した方がやっていたそうです。
少し分かりにくいですが、こちらがそのバイクのハンドル周りの写真。

青いホースがウォーターポンプになっている

余談ですが、このヒーターを利用してこの方はスマホも暖めていたそうですs。

キャブレターのアイシング対策

キャブレターのバイクに限りますが、アイシング対策もやっておくのがオススメとの事。
気化熱という単語を聞いた事があると思いますが、液体と言うのは気化する時に熱を奪うという特性があります。
キャブレターというのは燃料を気化させるためのパーツなので、この気化熱が常に発生するということ。

普通の環境であれば気化熱でキャブレターが冷えたとしても問題ありません。しかし、気温がマイナスになるような寒冷地だとそもそも温度が低い状態から気化熱でさらに温度が下がっていくので、キャブレターに入ってくる空気が凍り付いてしまう事があるのです。そうするとキャブレターの可動部分が凍り付いて動かなくなります。この時スロットルバルブなどがあきっぱなしになってしまうとエンジンの回転数が下がらなくなる事もあり、非常に危険です。

これを防止する方法としては、アルミホイールとか保冷バッグのアルミをキャブにぐるぐる巻いたり、キャブヒーターを装着したりする事で対策が可能です。

電熱ウェア系

イケダさんからは特にお話はありませんでしたが、最後に筆者からのオススメが電熱ウェアです。電気の力でウェアやグローブに入った熱線を熱して暖を取るアイテム。
ウェアなので厳密にいえばバイクのカスタムではないのですが、使う場合は基本的にはバイク側に処置が必要という事でこの記事で紹介していきます。

電熱ウェア系はバッテリーにジャック付きのハーネスをつないでおき、ウェアについている端子と接続することで電源を取ってくるやり方が基本です。
ただし、前述の通り寒冷地ではこのようにバッテリーに負荷をかけるのはなるべく避けたい所。

ひと昔前はこの方法しかありませんでしたが、現在はモバイルバッテリーでも動かせるタイプがあるので宗谷岬ツーリングで使うならこちらがオススメです。

むしろバッテリーから直接電源を取るとバイクから降りた時には電源が切れてしまいますが、モバイルバッテリーで動かすタイプならバイクに乗っているかどうかは関係ない上バッテリーに負荷もかからないのでいいことだらけ。

ウェアだけではなく、グローブも専用のバッテリーを使って発熱させる事ができるタイプもありますよ。

電熱ウェアは機械です。内蔵されている熱線が断線したりしたら効果を発揮しなくなります。雪ならまだ平気ですがもし雨が降ってきた場合も濡れると感電やショートの危険があるため使えません。「電熱ウェアがあるから・・」と油断するのは禁物です。電熱ウェアを着て走る時はあくまで補助と考えて、なくてもなんとかなるような備えをしておきましょう。


というわけで、年越し宗谷岬ツーリングに実際に行ったライダーがやっておいたバイクのカスタムやその他オススメのカスタムのまとめ、紹介でした。
冒頭にも書きましたが本編はこちら!

【真冬の北海道】宗谷岬 年越しツーリングの準備や予算、ルート、感想などのまとめ!

前回に引き続き、イケダさんありがとうございました。イケダさんの紹介は本編にて。
それではまた。