一口で「オフロード用ブーツ」と言っても、世の中には様々なブーツが存在しています。
今回は「今までに別ジャンルのオフロードブーツ5つを履き替えてきた」というPさんに、実際にオフロードブーツを使用した経験からわかったことをインタビュー!

Pさん
ブーツ単体のレビューは多いと思いますが、ジャンルの違うブーツを同じ人がレビューすることはかなり珍しいのでチェックです!
オフロードブーツ5つ比較
オフロードブーツは決して安い値段ではないので別のメーカーや別ジャンルのブーツへ履き替える方はあまり多くないと思います。
Pさんは「オフロードはほぼしない快適性や操作性重視のブーツ」から「価格重視」そして「レースでもしっかりと守ってくれるプロテクション重視のブーツ」と、今までに5種類のオフロードブーツを試してきました。順にご紹介します。
1.とにかく安いモトクロスブーツ
オフロードブーツを「価格重視」で探すと出てくるのが、あまり有名ではない海外メーカーのオフロードブーツ。
スコット(SCOTT)は決して無名なブランドではないですが、めちゃめちゃメジャー、と言うこともない。
Pさんは最初のブーツとして、価格重視でスコットの1.6万円のブーツを購入したそうです。
Pさん「粗悪品ではなかったですが、一言で言うと”安かろう悪かろう”でしたね。」
激安モトクロスブーツの感想
・モトクロスブーツだけあって防御力は高い
・硬すぎて足首が全く動かせず操作性はかなり悪かった
・パーツが厚いせいかとにかくブーツが重い!!
・ストラップが外れやすい
特に硬さはかなりのものだったそう。
Pさんはこの頃、カワサキKLX125に乗っていたようで「純正のシフトペダルを極力上にあげるセッティングを行い、シフトアップ時は足ごとあげないとだめ」と言うほど。その後KLXからセローに乗り換えるとシフトペダルの違いからかシフトチェンジがさらに困難になったそうです。
とにかく安いモトクロスブーツは足首が動かないことからくる不便さがツーリングではきついようです。
Pさん「モトクロス前提ならありだったのかも?」
2.ショートオフロードブーツ:ガエルネ タフギア
Pさんは硬いモトクロスブーツに耐えきれず今度は逆の方向性、つまり「操作性」に全振りした、ガエルネのショートオフロードブーツである「タフギア」を購入したそう。

ガエルネ タフギア
ガエルネ タフギアの感想
・操作性がかなりよい。フロントアップも簡単!
・デメリット:ショートブーツなので防御力は低め

タフギアでフロントアップするPさん
ショートオフロードブーツなのでとにかく操作性が高く、シフトチェンジやブレーキ操作もストレス0だったそう。しかも縦方向のダメージにも強いので案外オフロードもいけちゃうんだそう。
ただ、ショートブーツの構造上、防御できるのはくるぶし辺りまで。横のダメージや足首が曲がってしまうような転び方だと簡単に怪我をしてしまいそうで怖かったそう。特に、バイクが密集するコースやレースでは他のバイクに踏まれたりしたらひとたまりもない。
3.アドベンチャー用ブーツ:TCX TRACK EVO WP
「流石にショートブーツでがっつりオフロード走行は怖い!」
と言うことで次にPさんが選んだブーツがTCXの「TRACK EVO WP」です。
TRACK EVO(トラック・エボ) WPはアドベンチャー用ブーツ。デュアルパーパス用途で軽さや操作性重視しつつも最低限の防御能力があるブーツ。タフギアと違ってロングブーツです。

アドベンチャーブーツを使ってみた感想
・タフギアほどでないものの操作性が良い
・ロングブーツなので安心感がある
・適度に柔らかいので疲れない
・ツーリング用としてはかなり優秀
・気になった点:エンデューロレースでは防御力が不足している
Pさんはセローに乗っているときに、ステップくらいの高さの木が足にヒット。これが結構痛く、「これはあたりどころ悪かったり、スピードが出ている状態で転んだら怪我する・・・」と感じたそうです。

TCX Track Evo WPでレースに参加されたPさん
Pさん「アドベンチャーブーツの防御力の評価基準は、メインが林道ツーリングなどハードなことやアタック系をしない人なら十分だと思います!」
4.モトクロスブーツ:ガエルネ SG10
「ED-PROよりもうちょっと防御力が高いブーツが欲しい」
そう思ったPさんはまたモトクロスブーツへリベンジしたそう。最初は激安ブーツだったのでもう少し良いものを探したそうです。
リベンジとして購入したのはガエルネ SG10。
機能は色々ですが一番の特徴として、SG10はピボット機構なのでプロテクション性能はそのままで軽さや操作性がアップしています。Pさんによるとピボット機構かどうかで大きく変わるんだとか。

ガエルネ SG-10 Yellow
「プロテクション性能がありつつ操作性能も捨てないブーツ」を期待して購入。さて、その結果は・・・?
ガエルネ SG10を使用した感想
・安心のプロテクション性能!
・安いモトクロスブーツよりも高い操作性と軽さ!
・気になったこと:やはりやや硬いと感じた
ここで言う”硬い”とは「硬くて足首が下に下げられないので足つきが不安になる」と言うこと。つま先でちょんちょんと地面を蹴ったり、止まった時・再発進する時にバランスを崩してしまうことがあるようです。
ただ、スピード系のレースやコースでは何一つ不満はなく、気に入ってるそうです。カラーバリエーションにかっこいいカラーがあるというところも魅力の一つなんだとか。

ガエルネ SG10とPさん
Pさん「SG10はモトクロスにはかなり有り。ただエンデューロだともうちょっとだけ軽く、かつ柔らかいブーツが欲しい!」
果たしてPさんが求める最適なブーツは見つかるのか?!・・・その答えが次に出ます。
5.エンデューロブーツ:ガエルネ ED-PRO
エンデューロや林道メインの方だと定番オフロードブーツがガエルネのED-PRO。

ガエルネ ED-PROart.405
Pさん「色々履いてきて、最終的にはこれが最適なバランスでした。定番と言われるだけはあります」
何が最適なバランスだったのでしょうか?
ED-PROの感想
・適度な剛性:今まで履いてきた経験から、トライアル用ほど柔らかすぎず、モトクロス用ほど硬くないので足首を曲げられる
・ブロックソール:エンデューロでは悪路を走ったりすることも多く、特にはバイクから降りて押したりすることも。そう言う時にブロックソールだと排泥性が上がるのでグリップしてくれる
・安心感がある:モトクロスほどじゃないが、スピードの出ないエンデューロなら十分な硬さがある
Pさん「一言で言うと”ちょうどいいブーツ”です!」
シチュエーションごとにブーツは使い分けよう
Pさんは「ブーツは用途によって分けるべき」と強調していました。
オンロードメインのツーリング、オフロードメインな林道ツーリング、操作性重視なトライアル、怪我のリスクが高いモトクロスと一口にオフロードといっても用途によって求められる性能は若干違うのです。
実際、5足履き替えてきたPさんは現在も4つのブーツ(タフギア、TCX、SG-10、ED-PRO)を持っているそう。安かろう悪かろうな激安モトクロスブーツ以外はシチュエーションごとに出番が違うというわけです。
これからブーツ買う人にオススメなブーツは?
これからブーツを買う人にオススメな探し方をご紹介。
とにかく操作性重視!→アドベンチャー用ブーツ
ツーリングや細かい操作性能を求めるならプロテクションを少し落としてでもTCXのトラック・エボのようなアドベンチャー用ブーツがお勧めです。
シフトペダルのカードがしっかりしてるものが多いので長く使えますし、ハードなオフロードでなければベストなバランスとなっています。
とにかく防御力重視!→モトクロスブーツ
防御力を考えるならモトクロスブーツが良いです。選ぶならピボット機構がついているモデルを買いましょう。この有無で操作性が大きく変わるそうです。
なおPさんはSG10を選択しましたが、もう少し柔らかめが好みならアルパインスターズのTECH7の方がお勧めだそうです。防御力はそこまで変わらないようです。
操作性と防御力のバランスのとれたものがいい!→ED-PRO
エンデューロのような林道要素からモトクロス要素まである競技では、部分特化したモデルではなくオールマイティなモデルを探しましょう。
操作性・防御力を高次元で両立しているブーツとしてED-PROはありです。
なおPさんはED-PRO以外にもガエルネのFASTBACK(ファストバック)とG-REACT(ジーリアクト)を検討していたそうです。ジーリアクトはPさんのサイズ(25cm)がなく断念。ファストバックは当時廃盤でしたが最近復活を果たしました。今からならこの二つも併せて検討してみてください。
「銀の弾丸」のような完璧なブーツはない
Pさんは「一つのブーツで全部を求めるとどこかしら不満点や妥協しなきゃならない部分が絶対にある」ということを伝えたいと最後に話していました。
少なくとも現在では軽くて防御力が高くて操作性も優れていて安価なブーツはありません。
ただ、「安かろう悪かろうブーツ」は結果的に残らないので、買うなら現時点で自分がやりたいことに特化したブーツを買うべき。ということですね。
長く使うならガエルネは安心
最後に、今回のブーツはガエルネが多かったのでここにも触れておきます。
ブーツは消耗品。特にオフロードではブーツが地面と接する機会が多い為、ソールが結構磨耗します。ソール張り替えを公式で対応してくれるメーカーだと安心ですよね?

ガエルネはリペアサービスがある
ガエルネ日本代理店のジャペックスに持っていけば、ソール修理なども対応しているのでトータルで長く履けます。バックルなども予備パーツも出ているので、極力いいモデルを買って長く使った方が良いです。
まとめ
オフロードブーツの選び方について、過去に5種類履き替えてきたPさんに話を聞きました。
結局、自分が走る場所やジャンルによって適切なブーツを選ぶのが間違いないです。
「エンデューロやるんだからエンデューロ用買えばいいのなんて当たり前じゃん」
と思う方もいるかもしれませんが、Pさんの「色々履いた結果、ED-PROがよかった」と言う言葉には重みがありました。
これ以外にも足の形や身長、筋力でもこの感覚は変わってくるので、もちろんできる限り色々なブーツを試着してみて、最適な一足を見つけましょう。
Pさんはヤマハ セロー250の感想についてもロングインタビューしていますので併せてどうぞ。
【林道・コース】セロー250に乗って分かったメリットとデメリット【インプレ】