「バイクで今、人気のあるカスタムスタイルは?」
と聞かれたら僕は間違いなく「ネオクラシカルスタイル」と答えます。
今回はバイクのインプレではなくこのW650のカスタムに特化した記事。拘ったところや苦労したところをインタビュー。オーナーは〼ヲ(ますお)(@dope_n_edgy) さん。美的センス高い美容師ライダーです。
ますおさん自身もSNSで人気が出てきている有名な美容師さんなのです。マスオさん本人についてのインタビューは以下をチェック!
目次
Kawasaki W650ってどんなバイク?
Kawasaki W650はカワサキのクラシカルバイク。カテゴリは大排気量のクラシカルなモデルである”Wシリーズ”です。
Wシリーズ自体は長く、原点は650-W1と言う発売当時世界最大排気量バイク。今回紹介するW650はすでにカタログ落ちしてしまいましたが現在もW800として販売されています。
エンジンは773ccの伝統的なバーティカルツインで35KW(47.6PS)とパワーは十分。デザインこそクラシカルですが排ガス規制もユーロ4対応、前後18インチホイール、スリッパークラッチとイマドキなバイクに仕上がっています。
ますおさんのW650ネオクラシカルカスタムを紹介
今やカタログ落ちしたW650ですが根強い人気を誇ります。ますおさんのバイクはどんなカスタムをされているのでしょうか?
W650外観
早速カスタムされたW650を見てみましょう。
見てわかる通り、ネオクラシカルスタイルのW650です。
W650を選んだ理由
ゴリッゴリなカスタムは車検の関係もあって250ccバイクが人気。そんな中ますおさんはなぜ大型バイクであるW650を選んだのでしょうか。
ーーW650を選んだ理由を教えてください
ますお:ネオクラシカルブームの到来、自身の身なりや雰囲気、ライフスタイルや日頃の用途にハマるもので考えた結果です。そして”走れるクラシックバイク”に仕上げたかったので以前からW650を狙っており、ちょうど良いバイクが出ていたので購入しました。なんと出所はヤフオク…!
ーーヤフオク…狙っているのはどんな条件だったのですか?
ますお:17インチホイールカスタムの構想はあったのですが、いかんせん手間と予算に億劫で手を出せていませんでした。不意にヤフオクで17インチにカスタムされた車両が出品されているのを発見、かつ規制前に生産されたややハイパワーな99年式モデルで運命を感じてしまって…
現行のロードスポーツモデルよろしく、17インチホイールにするだけでも、ちょっと今っぽい雰囲気になるものです。概ね相場中央値の40万円程でした。
コンセプトは”ノーマルの雰囲気を変えない”カスタム
ーーカスタムのコンセプトは?
ますお:これは僕のポリシーみたいなもので「純正の美しさをリスペクトして残したカスタム」がコンセプトです。ハードなカスタムだと、外観にほぼ原形が残らない物も多く見られると思います。勿論それはそれでめちゃくちゃカッコいいし各オーナーのセンスや熱意が光っています!しかし!僕は開発に携わったメーカーの方々が”W650″として世に送り出した本来の美しさをなるべく保ちながら(この形で販売してくれたらいいな+α)って思いで今も進めています。
前後17インチホイール
W650のノーマルはフロント19インチ、リア18インチですが、ますおさんのW650は前後17インチホイールです。
イマドキなスポーツバイクが17インチホイールなので走行性能が高いタイヤを履け、見た目もスポーティなネオクラスタイルにマッチすることを狙ったんだそう。
ーーW650に17インチホイールは走行性能的にどうでした?
ますお:残念ながら走行性能は総合すると落ちているかも。落札した時点での車体はホイール以外のパーツ(ハンドルやステップ)が純正だった事もあり、正直かなり乗りにくかったです。やはりノーマル車はよく考えられていて最高だと再度確認しました。しかし現状の見た目に関しては大大大満足なのでトレードオフ、今後はより乗りやすく、より楽しく走れるよう色々試してみようかと思います!
幅170のリアタイヤ
このバイクのかっこよさのキモともいえるのが太いリアタイヤ。
17インチホイールに横幅が170のタイヤはヤル気満々でかっこいい。ここはかなりこだわった部分だったようですが、苦労もあったそうです。
ーーリア170化で苦労したことは?
ますお:リアタイヤは太ければ太いほど良いと思い込んでいるフシがありましたが、ブレーキトルクロッドに当たらないようにすれば今度はチェーンが干渉してしまって、それを外側に逃がすためにハブとリアスプロケットの間にスペーサー入れて、そのスペーサーにあわせてフロントススプロケットの位置をオフセットして、それに伴ってチェーンカバーも削ったり…このあたりは前例も少なくトライアンドエラーばかりでしたね。
ーーおかげで17インチのタイヤも選びたい放題ですね!
ますお:ところがどっこい、今度はリム幅問題!現状のホイールリム(4.0J)では150幅が推奨サイズなのです。リム幅なんて知らんがなって知識レベルだったのです。しかしここまできたら見た目優先!結局のところ細く見えてしまうものの無理やり170サイズです。
ますお:しかも・・・
・バンクすればタイヤより先にエキパイが接地
・フォークオフセット(フォークとステムの距離)の関係でバンクするより先にハンドルが切れる
・フォークの角度を立たせたい+リアの車高を上げてエキパイが擦れるのを回避したいという思いで取り付けたZRX1200用の長いリアサスをつければ、今度は本来の車重や取り付け角度の問題で固すぎたり・・・
奥が深すぎるバイクの物理学(?)について衝撃と勉強の連続です…。
カラーはソリッドグレー
カラーリングはカスタムバイクでもキモの部分。タンクやフェンダーの塗装はお店に依頼したそうです。
ーーグレーにした理由は?
ますお:これは今の流行りをそのまま取り込んだのと、乗車する際の装いに色を選ばなくて済むようにと考えた結果です。先日申し上げた通り、バイクは人が乗ってようやく完成した姿になります。グレーの汎用性はお洋服でもバイクでも健在なのです。ほらこの通り!!↓
車検対応のウィンカー
ますおさんはリア周りはウィンカー兼テールランプですっきりしています。
実はこれ、車検に対応しているんだそうです。
ますお:このタイプのウィンカーは、ハーレー・ダビッドソンの車両でお馴染みです。小ぶりな物が好まれるカスタムバイクの世界でも大きすぎず、しかし純正の形状から解離しすぎない程度に、且つテール回りをスッキリ見せるアイテムとしては非常に優秀かと!
カスタムにおけるもう一つのポリシーとして、車検になるべくそのまま通せるようにしています。特に灯火類は取り締まりの厳しい点ですし、他の車両からの視認性は自衛にも迷惑をかけるリスク低減にも繋がると思うのでまさしく一石二鳥!
実はシートは純正オプション
上品なシートですが実はカワサキの純正オプションなのだとか。リブ加工がはいっているのが定番なのでスポーティでかっこいいです。
キラキラしたパーツは徹底的に避ける
今回のカスタムでこだわったのが「クロームメッキやスチールやアルミのキラキラしたパーツを使わないようにした」だそう。
フロントはFRPのフェンダーに変更し塗装、エキパイ部分はバンテージ、マフラーもつや消しブラックと徹底されています。
ーーキラキラパーツを避けた理由は何ですか?
ますお:この手のバイクが好きなのにメッキの輝きが苦手…というのが本音です。エンジンの再塗装も考えたりしましたが、例の如く予算には限りがありまして…
なのでエンジンの鏡面ルックに近かった部分は、粗めのサンドペーパーで鈍く輝く程度に!
ーーエンジンにサンドペーパーはすごい。そういうテクニックがあるのですか?
ますお:いえ、まさしく偶然の産物なんです。納車時からついていたエンジンオイルのシミが気になって、サンドペーパーで粗目→細目へと擦ろうとしたんです。そして粗目のサンドペーパーで擦った時、(アッ…このままの方がいい…)ってな具合でした。
ーーそれ以外にも、本来アルミ素地の目立ちやすい部分はKOKENにアルマイト塗装でつや消しブラックにしたと聞いてそのこだわりっぷりに驚きました
ますお:カラーアルミ系のパーツはカスタムした部分を手軽にアピール出来て勿論良いんですが、このW650の場合は先述の通り、「どれだけ純正らしさを残せるか」がポイントなので、造形に関しては現代的で美しい物を取り入れて”ネオ”感を。それを敢えてフレーム等の色に合わせ黒く目立たなくする事で”ノーマル”感に繋がり全体的なまとまりを演出してくれているのではと思います。
その他、やったカスタムをざっくり紹介
上記は一部ワンオフだったりショップに任せないと実現できない類のカスタムが大半。そこでこれからW650のカスタムをする人へ市販パーツでもできるオススメカスタムについて紹介。
フロントブレーキディスク大口径化
古いバイクだとどうしてもブレーキシステムが貧弱なので、方法は様々ですがブレーキディスクの大口径化やマスターやブレーキホースの交換がおすすめなんだそうです。
(今回キャリパーについて触れていないのは「まず間違いないがキャリパーはめちゃくちゃカスタム感が出る」とのこと。)
ますおさんのW650はノーマルより20mm大きいディスクとキャリパーサポートを(なんとメルカリで)購入、マスターをグリメカの物、ホースをステンメッシュにしてあるそうですが、「かなりマシになった」との事。
エンジンチップガード取り付け
Wシリーズのフレーム形状特性として、フレーム前方に間が空いておりフロントタイヤが巻き上げた石等がエンジン上部やクランクケース上部に貯まるんだとか。そこでフレームの穴を塞ぐ板(エンジンチップガード)を導入したそうです。
チューブレス加工
前後ホイール両方とも、”走れる”方向性に伴いチューブレスキットを導入したそうです。
オフロードバイクやモタードでもお馴染みですが、サスペンションより下の軽量化(所謂バネ下重量?)はかなりの効果をもたらしてくれるとか…
W650で大変だったことは?
最後に今回のW650のカスタムで大変だったことをお聞きしてみました。
ーーW650をネオクラカスタムする上で大変だったことは?
ますお:まずカスタムパーツが乏しいところにぶち当たりました。市販されているパーツの範囲でカスタムを突き詰めていくとゴールが同じになりそうなレベルです。その点YAMAHA SR400は市販品やキットですら、無数のバリエーションがあるので羨ましい限りです。
ーーカスタムは全てますおさん自身で行ったのですか?
ますお:まさか!もうお分かりの通り、知識も乏しくあまり器用な方でもないので、重要な作業はほぼプロのショップにお任せして進めました。きっかけは友人からの紹介でしたが、リアフェンダーのカット、ナンバーステー制作やメーターステー加工、その他既製品の加工やワンオフパーツ制作、セッティングの相談もショップと相談しながら進めていきました。
ーー差し支えなければどこのお店か教えてください
ますお:埼玉県は川口市にあるMCS-Barn(モーターサイクルズバーン)というカスタムショップです。ハーレー、国産アメリカンやクラシックバイクのカスタムに強く、とにかく店主の方が気さくで難しい相談にも可能な限り対応してくださいました。このお店でなければ僕のW650は今の形になっていなかったと思うくらい、センスがよくオススメのお店です!
ーーやはり困った時はカスタムショップ等プロの手を借りるのが間違いないですね!
ますお:特に足回りは大きく命にも関わるかなり重要な部分だと思うので、万が一のリスクも回避すべきだと思う僕は必ずお店にお任せしています。皆様各々の整備スキルは様々だと思いますが、僕からは皆さんにもオススメさせていただきます!
ーーありがとうございました!
・店名:MCS-Barn(モーターサイクルズバーン)
・Instagram:mcs_barn1013
・住所:〒334-0074 埼玉県川口市江戸3丁目2−13
・電話番号:048-299-4903
・営業時間:10:30~19:00
・定休日:月曜日
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