こんにちは。ぼっちバイカーです。
X-trainer(クロストレーナー)300に乗られている 潤デューロ(@katakingrider) さんにインタビューしました。
なお、潤デューロさんはHondaのXR250BAJAにも乗られており、「【22年間ノートラブル!!】日本を旅したXR250 BAJAについてのインプレ」でインタビューさせて頂きました。今回はX-Trainerについて聞いていきます!
目次
X-trainer300ってどんなバイク?
イタリアのトライアルバイクメーカーであるBeta(ベータ)のX-Trainer(クロストレイナー)はエンデューロシリーズのエントリー機として2015年にデビューしたエンデューロレーサーです。
低速域の粘り強い300ccの2サイクルエンジン、スリムな車体、セルスターター、ラジエターファン、柔らかい足回り、山遊びやトライアルごっこも出来る能力、手間いらずのオイルインジェクション(分離給油)、88万円という比較的低価格な車体価格などがウケて、「セローの上位互換」とも呼ばれるフレンドリーなエンデューロレーサーという位置づけのバイクです。
日本では2017年にほぼノーマルのクロストレーナー300が全日本ハードエンデューロ選手権で優勝したことから「ハードエンデューロ入門に最適なマシン」という触れ込みでも広がりました。
なお250ccエンジンであるX-trainer250もラインナップにあります。こちらならナンバー取得も可能です。
愛車紹介
潤デューロさんの愛車についてインタビューしていきましょう。
バイク歴
バイク歴は以下とのこと。
スズキDR-Z400SM→スズキB-KING→スズキアドレスV125G→スズキTS200R→スズキ250SB→スズキGSR750→スズキGSX750E→X-trainer300
選んだ理由
X-trainer300を選んだ理由は何だったのでしょうか?
潤デューロさんはMY17(モデルイヤー2017年式)を購入されました。これはチャンピオンのマシンであるX-trainer300を試乗する機会があったそうで、その時に「安い、軽い、小さい」ところが気に入り、かつ「2ストなのに乗りやすい!」となったため即決したそうです。
別の理由として絶版バイクであるHonda XR250 BAJAで2015年からレースをやっていたそうですが、バイクを壊すと部品が手に入らないためレース遊びに抵抗を感じていたんだとか。レースやるなら専用品、という思いもあったようです。
どこにいってどうやって遊んでいるか?
エンデューロレーサーで300ccはナンバー取得もできないため、クローズドコースで練習やレースに出場しているようです。
特にヒルクライムとかオフローディングで低速デロデロで粘り強く進んでるときにX-trainerが活躍するようです。
X-trainer 300を買ってよかった3つのポイント
潤デューロさんはどこに魅力を感じているのでしょうか?
1:サスペンションが良い
まず、サスペンションがいいという点を何度も強調されていました。
今まで乗っていたトレールバイク(XR250 BAJA等)と比べてサスペンションが良く動いてくれるのでギャップで怖さが軽減されたとのこと。丸太などの障害物越えた時やこぶし大くらいの岩が敷き詰まったガレ場でもスピード出して走った時に安定するそうで、サスペンションがしっかり仕事してると感じるようです。
この辺りはトレールバイクとエンデューロレーサーの違いの一つですね。サスが良いと疲れないし恐怖感も減るので乗るのが楽しくなるでしょうね。
2:機能美
これは外見の話。オフロードのレースでは軽さはパワー以上に大事なスペックです。
ですので余計なパーツや無駄なデザインは一切なく、極限まで軽さとパフォーマンスを調整した車体には機能美を感じるそう。話を聞いていて特にすごいと感じたのはガソリンタンクの位置。タンクをフレーム内に収めることで足つき向上、シュラウドもコンパクトになっているそうです。
3:チャンピオンと同じバイクに乗ってる!という事
日本のハードエンデューロレースシリーズの2017年チャンピオンである高橋 博選手も同じX-trainer300に乗っています。
「チャンピオンと同じマシンに乗っている」ということが嬉しくない人なんていないですよね!潤デューロさんも例外ではない様子でした。
XRと比べていいところ
元々乗られていたトレールバイクであるXRと比べてどうだったかも聞いてみました。
- トレールバイクからレーサーへ乗り換えたのに低速でデロデロ走れるし怖くない
- 車体がコンパクトで扱いやすい
- 足つきが良い
- アクセルを空けなくてもヒルクライムを登っていく
- サスが柔らかいんでスピードを出す走りは苦手
とのこと。「2ストレーサーなんて乗りこなせないよ!」なんて人にこそ体験してみてほしいそうです。
まとめると・・・
X-trainer 300を買ってよかった3つのポイントは
- サスペンションが良い
- 機能美
- チャンピオンと同じバイクに乗ってる!という事
X-trainer 300で不満な3つのポイント
軽くてコンパクトで低速も充実していてお値段も比較的安価なクロストレーナーですが、デメリットや悪い点はどんなところでしょうか?
1:セルがたまに空回りする
クロストレーナーはセルスターターが付いているのですが、このセルがたまに空回りしてしまうそうです。
ベンディックスギアというクランクを回すパーツがやや持病のようでオーナーさんでも不具合が出る方がほかにもいたそうです。
2:セルモーターを外すのが大変
上記の通りセルがやや不安なため、定期的にセルモーターを外してチェックしたほうが安心なんだそうです。
がセルモーターの位置がエンジンの真下にあるらしく、アクセスする為にはスイングアームを外してエンジンを上からつるさないといけないそうです。大変だ…
またボルトも全体的に緩みやすいようで、定期的な増し締めは必須とのこと。
これは潤デューロさんではないですが「エンジンマウントしているボルトが緩む」「ジェネレーターを止めてるボルトが緩む」などがあったようで、対策としてはめったに外さないならロックタイト等でねじ緩みを防止することのようです。
実際僕もクロストレーナーには乗ったことがありますが、2017年式250EXCと比べると振動は結構なものでした。コンパクトでフレンドリーそして足つきがよく軽量な乗り味のクロストレーナーですが、増し締めなどのメンテはしっかりやってあげたほうが長く楽しめそうです。これも貴重な情報ですね。
3:パワーに慣れるのが大変
たとえクロストレーナーはユーザーフレンドリーとはいえやはり「2スト」。パワーバンドに入ると強烈な加速が感じられます。これは武器ですが同時に鋼の剣でもありました。
「最初の1か月程は購入したことを後悔したほどでした」
潤デューロさんはこう語りました。
これは「トレールバイクの時ように適当な操作でもよしなに進んでくれない」という事で、パワーに慣れて適切に操作することを覚えてからは今まで行けなかった場所へも簡単に行けるようになり、楽しくなったとのこと。
かくいう僕もトレールバイクから2ストの250EXCへ乗り換えた時は同じような感想でしたね。2ストはクラッチ操作もきっちりやらないといけないので4ストよりも忙しく、慣れるまでは大変でした。
これはクロストレーナーというよりは、初めての2ストオフロードレーサーに乗った感想といえますが、トレールバイクから初めてのレーサーを検討しているならこのことは覚悟しておいた方がよさそうです。
なお、1年たった今ではパワーにも慣れて本当に乗りやすいバイクだと話されていましたのでそこは安心してOKのようです。
まとめると・・・
X-trainer 300で不満な3つのポイントは
- セルがたまに空回りする
- セルモーターを外すのが大変
- パワーに慣れるのが大変
X-trainer 300におすすめな3つのカスタム
クロストレーナーはオフロードレーサーですがお勧めのカスタムを聞いてみました。
1:混合仕様に変更
冒頭でも紹介した通り、クロストレーナーはオイルインジェクションという分離給油。つまり「ガソリンと2ストオイルをミックスしなくてもよい」のです。
これはウリのはずなのですが、潤デューロさんに言わせるとこれは「焼き付きのリスク」との事でした。
というのも、他のオーナーさんでクロストレーナーのオイルポンプのコンデンサが故障するケースがあったそうです。ポンプが故障すると2ストオイルが適切に送り込まれない為、エンジンの油膜が切れて焼き付きを起こしてしまうことを意味しています。街乗りや峠を走るのとは違い、横転や前転したり激しくクラッシュすることもあるオフロードバイクだと分離給油は”リスク”という事のようです。
対応としては、2ストオイルタンクとポンプを外して、ガソリンタンクに混合した燃料を入れることでOKのようです。なお潤デューロさんは通常混合比60:1でミックスしているそうです。
2:キックペダル
クロストレーナーは軽量化の一環からか、キックペダルがありません。
「・・・21世紀にキックとか…」
と思われる方もいるかもしれませんが、ハードエンデューロのような走っている時間よりも止まったりすることのほうが多い競技の場合セルの使用頻度がかなり高くなります。またエンジン冷却のためにラジエーターファンも回るためバッテリが上がってしまう事も良くあることなのです。
潤デューロさんもハードエンデューロをされているのでキックペダルを取り付けたそうです。
国産エンデューロレーサーの弱点として「セルがない」点がありますが、クロストレーナーは標準でセル装備。さらにキックも取り付ければ盤石な体制となりますね!
3:サムコのラジエターホース
クロストレーナーではサーモスタットが2つある以下のような仕様なんだそうです。
普段は片方のラジエーター内のみでクーラントが循環している→一定温度で1つ目のサーモスタッドが作動→2つのラジエーターも循環するようになる→2つ目のサーモスタッドが作動するとラジエーターが吹く
ハードエンデューロだと冷却効率が悪くエンジンにも優しくないため、この二つのサーモスタッドがついていないSAMCO(サムコ)のクーラントホースに交換したそうです。
SAMCO SPORT サムコスポーツ クーラントホース(ラジエーターホース)
有益なカスタム情報
これ以外にもクロストレーナーには色々なオススメカスタムがあるそうです。
潤デューロさんは普段、SNS情報と併せて昨年チャンピオンである高橋博さんのブログをチェックしているようです。
クロストレーナーを購入したり今後カスタムを検討している方はぜひチェックしておきたいですね!
まとめると・・・
X-trainer 300にオススメの3つカスタムは
- 混合仕様に変更
- キックペダル
- サムコのラジエターホース
次に乗り換えるなら?
乗り換えるとしてもBETA X TRAINER300とのこと。
まだ購入して1年ちょっとということもありますが、買って一年。特に不満はないようですね!!
クロストレーナーを検討している方へ
最後に潤デューロさんからクロストレーナーを検討している方へのコメントがありましたのでそのままお伝えします。
(クロストレーナーは)イタリア製ですが、ブレーキは前後ニッシン。キャブレターはケイヒンと日本メーカーが使われてます。部品供給は富山県のベータ日本本部に在庫があれば注文した時間帯にもよりますが今日頼めば明日に来ます。
部品の価格は純正より社外が安めの傾向にありますね。パワー切り替えスイッチがあるので慣れないウチはトラクションモードのがいいと思いますし、軽くて小さく粘り強いエンジンで低速でトコトコ走るのが得意ですから、初心者や初級者には良いバイクですよ。
RR2T300というエンデューロマシンと使える部品が同じだったりするので、クロトレ買って楽しんだらRR化という楽しみ方もあります。買って1年が過ぎましたが、まだまだわからない事もありますので、頑張って乗り込んでいきます。
まとめ
まとめると・・・
バイク情報 | Beta(ベータ) X-trainer 300 |
走行距離 | 約400km |
良いところ |
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気になるところ |
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おすすめカスタム3つ |
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インタビューした人
- 名前:潤デューロ
- 愛車:Beta(ベータ) X-trainer 300
- バイク歴:22年
- アカウント:Follow @katakingrider
- 最後に一言:”他社製品に比べ比較的安く買えるのはエンデューロの世界に入りやすいと思います。そして安いだけのバイクじゃないです。クロストレーナーはいいぞ“
ぼっちバイカーのヒトコト
ぼっちバイカー
EXCよりもひとまわりコンパクトで足つきもいいし低速がモリモリ。これがオレンジだったらなぁ…